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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)691号 判決 1954年11月05日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人清野鳴雄の上告理由は、末尾添付の書面記載のとおりである。

原判決は、被上告人が上告人石垣清次に対し、昭和二五年二月一三日及び同月一九日に、上告人石垣重雄を連帯保証人として各金一万円を、ついで同月二〇日に上告人佐々木勇四郎を連帯保証人として金三万円を、いずれも返済期限は同年三月二五日、支払うべき利息ならびに遅滞の場合の損害金の割合を月一割の約定で貸与したこと、右金員は上告人清次が営む鍛冶屋業の営業資金として貸し付けられたものであつて、商事に属し旧利息制限法五条の適用がない場合であることをそれぞれ認定した上、遅延損害金に関する右の程度の約定は、当時の一般経済界の実情に照らし、特別の事情のない限り、未だ公序良俗に反するものとは認め難く、特別の事情の存することについては、何等の主張も立証もないとして、結局被上告人の上告人等に対する前記貸金の元本、ならびにこれに対する貸付の日から返済期迄年一割の利息及び返済期後の月一割の損害金の各支払を命じた第一審判決を認容したものである。以上の点に関する原判決の判断は、当裁判所もまたこれを正当と認めるから、論旨は採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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